【N-BOX JF1/JF3】走行中に失火して息継ぎしたり、アイドリングでガクガクしてメーター内にエンジンチェックランプが点灯する!原因と修理方法を現役整備士が解説!

N-BOX
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Honda車のよろず相談所の工場長の経歴
●主な資格

  • 国家一級整備士
  • ホンダサービスエンジニア1級
  • フロントマネージャー資格
  • 自動車検査員

ホンダディーラー10年以上の知識と経験を生かして、誰にでもわかりやすく解説していきます。

  1. 【N-BOX JF1/JF3】走行中に失火して息継ぎしたり、アイドリングでガクガクしてメーター内にエンジンチェックランプが点灯する症状の原因は?
  2. エンジン警告灯が点滅・点灯したらどこをチェックしたらいい?
  3. 【プラグやトップコイルの故障】【インジェクター不良】【エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜け】3つの故障の判別方法とは?
    1. 初めに症状によって推定故障個所を切り分ける
    2. ❶プラグやトップコイルの故障の場合の確認方法と修理費用
    3. ❷インジェクター不良の場合の確認方法と修理費用
    4. ❸エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜けの場合の確認方法と修理費用
  4. エンジン警告灯の点灯、点滅は自分で修理できるのか?
  5. 【JF1】エンジン警告灯の点灯点滅症状で実際にディーラーに修理に持ち込まれた修理事例
    1. 実際に確認できた症状
    2. チェックランプとDTCの有無の確認をしてみた
    3. 実際に詳しく診断した結果
    4. トップコイル不良で失火している症状の場合の修理箇所と修理費用
  6. 【JF3】エンジン警告灯の点灯点滅症状で実際にディーラーに修理に持ち込まれた修理事例
    1. 実際に確認できた症状
    2. チェックランプとDTCの有無の確認をしてみた
    3. 実際に詳しく診断した結果
    4. エキゾーストバブルのスラッジ噛みが不具合の原因の場合の修理箇所と費用
  7. 関連記事の紹介

【N-BOX JF1/JF3】走行中に失火して息継ぎしたり、アイドリングでガクガクしてメーター内にエンジンチェックランプが点灯する症状の原因は?

記事内のエンジン警告灯やエンジンチェックランプとは【PGM-FI警告灯】の事を指します。

この症状は【JF1型】【JF3型】どちらにも当てはまる故障です。
他にもN-ONEやN-WGN、N-VANも同様の故障が発生します。

この症状の原因として考えられるのは以下の3つが挙げられます。

  1. プラグやトップコイルの故障
  2. インジェクター不良
  3. エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜け

どの故障も走行中ガクガクしたり加速時パワーがなくなったり、アイドリングが不安定になり
エンストするような症状があります。

3つ同じような症状になる理由は、どれも燃焼に関わる部品の不良だからです。

3つの故障とも、うまく燃焼ができなくエンジン出力が上がらなくなるのが一番わかりやすい症状として現れます。

ディーラーに持ち込んだ場合の修理費用は以下の通りです。

プラグやトップコイルの故障 約4万円
インジェクター不良 約8万円
EXバルブのスラッジによる圧縮抜け 約15万円
年式により保障対象になる場合もあります

エンジン警告灯が点滅・点灯したらどこをチェックしたらいい?

メーター内のPGM-FI警告灯が点滅・点灯して、走行中ガクガクと失火や息継ぎした様にパワーがなくなる症状が出た場合はエンジン系のどの部品に不具合があるかを確認する必要があります。

どう確認するかと言うと、OBDシステムのスキャンツールという診断機を使用して、故障個所を特定します。

電源が入っていないODBスキャンツール
ODBのスキャンツール

【故障コードの確認方法】や【スキャンツールの説明】はこちらの記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。

【プラグやトップコイルの故障】【インジェクター不良】【エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜け】3つの故障の判別方法とは?

3つの故障は失火という同じ症状として現れます。

エンジンルーム
エンジンの診断

初めに症状によって推定故障個所を切り分ける

闇雲にプラグやインジェクターを点検しては、時間がいくらあっても足りません。

まず、再現性の確認をしてどのような場面で症状が出るかで推定故障個所の切り分けを行います。

1、アクセル全開領域時
アクセル全開領域(例、高速や幹線道路での追い越しや加速時、急坂の登り時)などに、
息継ぎや加速していかないなどの症状がでる場合は、【エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜け】の可能性が高いです

アクセル全開のイラスト
安全に注意しましょう

2、常に症状が出ている
常にガクガク、ブルブルとアイドリングが走行時もでている時は、【プラグやトップコイルの故障】【インジェクター不良】の可能性が高いです。

❶プラグやトップコイルの故障の場合の確認方法と修理費用

プラグやトップコイルの故障の確認方法は、初めにOBDスキャンツールでどの気筒に故障が発生しているかの確認を行います

ODBスキャンツールの使用方法は下記の記事で解説しています。

ODBスキャンツールで1番シリンダー失火が入力してる場合の診断例

【1番シリンダー失火】がわかっても、プラグがトップコイルのどちらの故障かが故障コードだけでは判断できません。

失火が発生しているシリンダーのプラグとトップコイルを正常なシリンダーと入れ替えて、症状が移るかどうかでどちらに故障があるのかを診断します。

プラグを取り外す際は、プラグソケットという工具が必要になります。

まず、①番と②番の【トップコイル】を入れ替え症状が1番シリンダーから2番シリンダーへ移るか確認します。
⇒症状が移れば①番のトップコイルの故障

症状が移らない場合は①番と②番の【プラグ】を入れ替えて症状が移るかを確認。
⇒症状が移れば①番プラグの故障

N-BOXのプラグ周りの展開図
引用:ホンダサービスマニュアル

修理費用は、約40,000円程が相場です。
(N-BOXでプラグとトップコイルを3本づつ交換した場合)

❷インジェクター不良の場合の確認方法と修理費用

インジェクターの図
引用:ホンダサービスマニュアル

図のpがインジェクターです。

インジェクターの点検は状態を目で見て判断できるものではありません。

その為、インジェクター以外が正常な事を確認する事により消去法でインジェクター故障と判断をします。
ポイントは3つあります。

  1. プラグやトップコイルなど点火系の点検
  2. 吸気系が詰まっていない
  3. エンジンの圧縮圧力の測定

この3つが正常であれば、消去法でインジェクター不良と判断出来ます

修理費用は、約80,000円前後が相場です。
型式やターボや自然吸気によっても多少前後します。

❸エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜けの場合の確認方法と修理費用

エンジンの圧縮圧力を測定する場合は、この様なコンプレッションゲージと言う特殊工具が必要になります。

コンプレッションゲージを装着した様子
引用:ホンダサービスマニュアル

●前提条件
・エンジンを暖機した状態
・燃料を噴射しない設定にする(インジェクターリレーを外すなど)

  1. プラグを4本外す
  2. コンプレッションゲージを測定シリンダーに取り付ける
  3. スロットルを全開にしてスターターでエンジンを回してコンプレッションを測定する

エンジンの周辺を触る危険な作業となる為、少しでも不安な方はディーラーに依頼する事をお勧めします。

圧縮圧力を測定だけなら5,000~10,000円が相場ですが、故障の為の診断なら修理を行えば測定費用が掛からない場合もあります。

修理費用は、約150,000円前後が相場です。

エンジン警告灯の点灯、点滅は自分で修理できるのか?


トップコイルやプラグ不良が原因なら比較的修理は簡単です。
しかし、スパークプラグの取り付けを間違って取り付け穴を潰してしまったり、トルク管理を怠るとエンジン破損に直結する為、整備知識がない方はディーラーで行って頂くのがいいと思います。

プラグやトップコイル交換の相場は下記の図が一般的です。
※1本あたりの交換費用です。

トップコイル交換 1000円
プラグ交換 1500~2000円
プラグ+トップコイル交換 2000円
1本当たりの工賃です

インジェクター不良やエキゾーストバルブの圧縮漏れと疑われる時は、素直にディーラーに入庫させる事をお勧めします。整備工場並みの修理設備が必要なのと、ガソリンを取り扱う整備になる為、DIYでは危険すぎる作業となります。
まずは、ディーラーで本当にインジェクター不良かエキゾーストバルブの圧縮漏れかを診断してもらい修理見積をもらいましょう。
診断料の相場は診断内容によりますが、5,000~10、000円が相場です。
診断結果により修理作業を行えば、診断料が無料になるケースもあります。

【JF1】エンジン警告灯の点灯点滅症状で実際にディーラーに修理に持ち込まれた修理事例

車種:N-Box
型式:DBA-JF1
走行距離:70000キロ

JF1型 N-BOX
JF1型 N-BOX
工場長
工場長

症状発生時の状況を詳しく教えて下さい。

ユーザー
ユーザー

幹線道路を走行中、ガクガクと息継ぎしているみたいな症状がでました。

そばのコンビニに入るとアイドリングでもブルブルしていて、メーター内にオレンジ色の見慣れないランプが点灯していました。

工場長
工場長

オレンジのランプとは、このエンジンチェックランプですか?

PGM-FI警告灯のマーク
PGM-FI警告灯
ユーザー
ユーザー

はい。そのマークです。

工場長
工場長

PGM-FI警告灯は点灯していたが点滅していたか

覚えていますか?

ユーザー
ユーザー

点灯していました。

工場長
工場長

息継ぎやガクガク・ブルブル感は今回が初めてですか?

ユーザー
ユーザー

言われてみれば、先日アイドリング中に少しブルブルしていた時があり

オレンジのマークがパチパチと点滅していました。

工場長
工場長

今も症状は確認できますか?

ユーザー
ユーザー

確認できると思います。

工場長
工場長

いつもどこで整備していますか?

また、最近なにか整備しましたか?

ユーザー
ユーザー

オイル交換などは、ガソリンスタンドで行っています。

2ヶ月前くらいに車検もガソリンスタンドで通しています。

詳しい整備内容はわかりません。

工場長
工場長

ありがとうございます。

それでは、お車を拝見させて頂きます。

実際に確認できた症状

診断機を使って診断している整備士

車の隅々までチェックします

エンジンを始動したら、メーター内にエンジンチェックランプが点灯している事を確認しました。

アイドリングでガクガク・ブルブルしていて、かろうじで駐車場から作業場まで移動できる状態でした。

排気ガスも生ガスのにおいがします。

チェックランプとDTCの有無の確認をしてみた

チェックランプ:エンジンチェックランプ点灯(PGM-FI警告灯)

PGM-FI警告灯のマーク
PGM-FI警告灯

DTC:あり
DTCコード:P0302 二番シリンダー失火

DTCとは、【Diagnostic Trouble Code】の略で、車両に不具合が起きた時にどこに不具合があるのかを知らせてくれる、ECUに記録される故障コードです。
詳しくは下記の記事で解説してます。

実際に詳しく診断した結果

DTC(故障コード)を確認すると2番シリンダーが失火している事がわかったので、更に詳しい診断を進めます。

失火している2番シリンダーと正常な1番シリンダーのトップコイルを入れ替えを実施
⇒失火が1番に移った。

症状が正常だった気筒へ移ったので、トップコイルの不具合で失火が発生していた事がわかった。

トップコイルとスパークプラグ
トップコイルとスパークプラグ

トップコイルはスパークプラグに点火させる為の高電圧を発生させる部品です。
スパークプラグは、高電圧で火花を発生させる部品
です。

2番のトップコイルに不具合があると判断し、整備歴でプラグの交換歴がないので予防整備も兼ねてトップコイルとスパークプラグを3個づつ交換しました。

トップコイル不良で失火している症状の場合の修理箇所と修理費用

スパークプラグを交換する整備士
プラグとトップコイルはセットで交換しましょう

修理箇所:該当シリンダーのトップコイル(今回は2番シリンダー)
修理費用:約10,000円(交換工賃込み)

点火系の故障の場合は、該当箇所だけではなくその他のシリンダーのプラグやトップコイルも併せて交換する事を強く推奨します。
理由は、同じ距離と同じ時間使用しているので同じだけ劣化しているからです。

プラグ3本、スパークプラグ3本の交換費用:約45,000円

【JF3】エンジン警告灯の点灯点滅症状で実際にディーラーに修理に持ち込まれた修理事例

ここではR5年11月に実際にホンダディーラーにPGM-FI警告灯の点灯点滅症状で実際にディーラーに修理に持ち込まれた修理事例をご紹介しておきます。

車種:N-BOX CUSTOM
型式:DBA-JF3
走行距離:25000キロ

薄い水色のJF3型N-BOX
JF3型 N-BOX
工場長
工場長

症状発生時の状況を詳しく教えてください。

ユーザー
ユーザー

4人乗車時に立体駐車場のスロープを上っている時に、加速しようとアクセルを踏み込んだらパワーがなくなった様になり車両がガクガクしました。ギクシャクして加速しない感じだったので不安です。 その時に、メーター内のエンジン警告灯が点滅していたんです。

工場長
工場長

どのような警告灯でしたか?

ユーザー
ユーザー

こんな警告灯でした。

エンジン警告灯のマーク
エンジン警告灯
工場長
工場長

アクセルはどのくらい開けていましたか?

ユーザー
ユーザー

多分ほぼ全開でした。

工場長
工場長

症状はずっと続いてますか?

ユーザー
ユーザー

以前から何度かあったのですが、今は問題なく走れています。

工場長
工場長

アイドリング時や低速走行時、緩加速時は症状でますか?

ユーザー
ユーザー

出てないと思います。症状出るときはいつも坂道発進や坂道での加速時が多い気がします。

実際に確認できた症状

お客様のお話をもとに、実際に整備士が同上して走行してもらい、異常を確認してみることにしました。
しかし、平坦な道で通常走行だと問題なく走行でき、異常を確認することはできませんでした。
4人乗車で坂道での走行テストも行いましたが、症状は確認できませんでした。

坂道をのぼる黒い車
急坂でも試乗を行いました

チェックランプとDTCの有無の確認をしてみた

DTC:なし
今回はメーター内のエンジン警告灯が点滅だったため、DTCは記録されてなかった様です。

はて?DTCとはなんぞや?と思った方はご安心ください。
【DTCとはなにか?】【DTCはどうやって確認するのか】を詳しく解説している記事があるのでご覧ください♪

エンジン警告灯が点灯していれば、その時のDTCは記録されていますが、点滅の場合は記録されません。

取扱説明書にも、エンジンが失火状態を検知した時に点滅するとあります。

エンジン警告灯点滅時の対応
店灯/点滅の理由
・エンジンの排出ガス制御システムが異常の時
・エンジン各気筒の失火状態を検知したときに点滅します。

■点灯したときは
高速走行を避けて、ただちにHonda販売店で点検を受けてください
引用:取り扱い説明書

失火が発生していると点滅をしてその状態が続くとコンピューターが失火をDTC(故障コード)として記録するのです。

実際に詳しく診断した結果

症状の確認時もガクガクやブルブルは確認できず、問診結果からも常に症状が出ているという状態ではありませんでした。

DTCも記録されていない為、トップコイルやプラグ不良の可能性は低いことがわかります。

DTCで〇番失火などが入力されていてば確実でしたが、今回は状況証拠で一時的な失火だと判断することにしました。

状況証拠的には次の3つが挙げられます。

  • アイドリング時や低速走行時、緩加速時での症状は出ていない
  • 発生時に警告灯が点滅していた
  • 高負荷時(加速時、坂道、高速道路)に発生していた

この3つが揃えば、DTCが入っていなくてもこれから説明するEXバルブのスラッジ噛みだと判断することができます。

ヘッドカバーを外した画像ですが、オイル管理の状況は良いですね。

エンジン内部の様子
ヘッドカバーと外した写真

下記の画像は燃焼室の様子で、ぶつぶつ見えるのがスラッジです。

燃焼室の様子
燃焼室

このことから、今回の故障はこのエンジン特有の症状で、EXバルブのスラッジ噛みで間違いないだろうと判断できます。

以下の写真の所にEXバルブとバルブステムの間にスラッジが溜まってしまい、EXバルブの動きを阻害してバルブの閉じ不良につながります。 そして圧縮漏れとなり失火となります。

原因となるスラッジ
原因となるスラッジの位置
EXバルブの写真
ここにスラッジが溜まるのが原因

通常ここに溜まるスラッジはバルブスプリングの張力により削り落とされるのですが、燃費向上の為、スプリング反力を落とした為にスラッジを削り落とせず閉じ不良が発生するのだと思われます。

エキゾーストバブルのスラッジ噛みが不具合の原因の場合の修理箇所と費用

主原因がエキゾーストバルブの場合、スラッジ噛みを起こしにくい対策されたエキゾーストバルブがあるので、エキゾーストバルブを交換する作業が必要になります。

スラッジが付きにくい対策品のエキゾーストバルブへ交換修理費用は約15万円です。 保証対応可能な場合もありますので、ディーラースタッフに確認してみましょう

予防したい人は、是非Mobil1オイルを使ってみてください。

Mobil1オイルがなぜオススメなのかを詳しく解説してる記事もあるので、併せてご覧ください。

エンジンオイルを変えたからと言って確実に予防できるというわけではなく、この事象に対する完璧な予防策はありません。

長年、整備士として見てきた経験則から、次のような乗り方をしている車に発生しやすいイメージがあります。

  • 純正オイルを使用
  • エンジンオイルの交換サイクルが長い
  • 街乗りメイン
  • 回転数を上げない優しい乗り方

逆にあまり事象が出ない方は以下のような乗り方をしている人です。

  • 100%化学合成油(一流メーカーのもの)を使っている方
  • ガソリン添加剤やエンジンオイル添加剤を使用(純正や良いメーカーのもの)
  • よく高速道路を使う
  • 適度に高回転まで回す方

スラッジは使っているうちに削り落とされたりするものなので、洗浄作用の強い良いオイルを使い積極的にエンジンを回すのがいい予防方法です。

過去には、継続的にかつ比較的頻繁に症状が発生する方でも、モービルオイルやガソリン添加剤とエンジンオイル添加剤を入れてぶん回してもらい症状が止まった方も居ました。

関連記事の紹介

今回は、トップコイル不良エキゾーストバブルのスラッジ付着による圧縮抜けの故障について解説しました。

別の車種ですが、インジェクター不良による失火の故障事例もあるので併せてご覧ください。

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