こんにちは、Honda車のよろず相談所の工場長です。
今回は、RC型オデッセイのスロットルボディが原因でエンジン警告灯が点灯した故障事例を詳しく解説したいと思います。
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スロットルボディ故障が原因でエンジン警告灯が点灯した症状で入庫した故障事例
車種:オデッセイ
型式:DBA-RC1
走行距離:130,000km
本日はどうなさいましたか?
走行中突然アクセル踏んでもエンジンの回転数が
上がらなくなってしまいました。
そして、路肩に止まってエンジンを止めて再始動
しようとしたらエンジンがかかりにくくなりました。
その時、なにか警告灯は点灯していましたか?
それ以降見慣れないこの警告灯が
メーター内にずっと点灯しています。
エンジン始動しにくいとは具体的に
どのような感じでしたか?
エンジンかけてもキュルキュルキュルとクランキングが長く
アクセル開けてもエンジンがかかりませんでした。
それを何度かやっているうちにかろうじでエンジンが掛かるように
なりました。
最近何か整備等行いましたか?
定期点検以外は洗車くらいしかやっていません。
承知しました。
それでは、お車を拝見させて頂きます。
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実際に確認できた症状
まず、エンジンをかけてみると特に違和感なくエンジン始動出来ました。
メーター内には、エンジン警告灯(PGM-FI警告灯)が点灯している事を確認しました。
その後、試運転を行いましたがフィーリングは特に異常を感じる事はありませんでした。
フェイルセーフ状態になっていない様です。
アイドリングも異常ありません。
エンジンルームを点検しても、特に振動や異音、漏れや破損は目視では確認できませんでした。
DTCの有無を確認してみた
エンジン警告灯点灯
DTC:P2101 スロットルアクチュエータ特性異常
DTCに付いて以下の記事で詳しく解説しています。
●DTCとは何か?
●OBDスキャンツールを使用したみた記事
●使用したOBDスキャンツール
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実際に詳しく診断した結果
DTC:P2101 スロットルアクチュエータ特性異常とはどのような故障なのでしょうか?
エンジンにもよりますが、オデッセイでは、エンジン後方に付いている赤い丸の部品です。
赤○の奥にスロットルアクチュエータはあります。
スロットルアクチュエータとは、スロットルボディとも言います。
●スロットルアクチュエータの機能とDTC検知原理
スロットルアクチュエータの機能とは、エンジンに吸い込まれる空気量を調整する非常に重要な部品です。
アクセルの操作と連動してスロットルアクチュエータ内部のスロットルバルブが開閉します。昔はアクセルからスロットルまでワイパー式でしたが、現在は電子制御のDBW(drive-by-wire)システムを採用している車両が多いです。
このRC型オデッセイもDBW式を採用しています。
DTC検知原理とは、アクセルペダルを操作するとアクセル ポジション センサが駆動され、アクセル ペダル踏み込み量を検出します。
アクセル ペダル ポジションセンサで信号化されたアクセル ペダル踏み込み量を基にスロットルバルブ開度目標値を設定し、その目標値となるようにスロットルアクチュエータを駆動し、スロットルバルブを開閉します。
実際のスロットルバルブ開度はスロットルボディに取り付けられているスロットル開度センサ1/2により検出されています。
スロットルバルブ開度目標値とスロットル開度センサ1実スロットル開度を比較し、その差が設定値以上の状態で設定時間以上継続した場合、ECUはDBWシステムに異常が発生したと判定し、DTCをストアします。
簡単に言うと、スロットルバルブの開閉具合をスロットルポジションセンサ1/2で監視していて、そのポジションセンサ1とポジションセンサ2の数値がズレた場合にECUは故障と判断するという事です。
アクセルやスロットル系統など、暴走すると重大事故に直結する部分は、2系統のセンサーで監視していて、そのセンサ値が設定値からズレると故障とECUが認識する設定になっているのです。
●ODBステータス
- 正常判定
- 故障判定
- 未完了
●P2101 スロットルアクチュエータ特性異常の推定故障部位
- ECUとアクチュエータ間コードの断線
- スロットルアクチュエータの故障
- スロットル開度センサ1/2の故障
- スロットルボディの故障
- ECUの内部故障
上記の情報を基に、スロットルアクチュエータの診断を行います。
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スロットルアクチュエータの診断
丁度診断を行っているうちに、故障の症状が継続して現れるようになました。
まず、推定故障部位の消込の為に[ECUとアクチュエータ間]配線の導通点検を実施。
異常な数値は確認できず、次にアクセル操作にスロットルボディ内のバルブがスムーズに追従するかを点検。それも特に異常なし。
DTCを消して、アクセルと操作した瞬間にDTCがストアされた為、スロットルボディ内のスロットルアクチュエータかスロットル開度センサの故障と判断。
新品スロットルボディに交換後、DTCのストアがない為本件は修理完了と判断しました。
●スロットルアクチュエータが劣化する主な原因
スロットルアクチュエータが劣化する主な原因は2つあります。
- 経年劣化による摩耗
- 推奨されない方法での洗浄や調整
1.経年劣化による摩耗は、防ぎ様がありません。そんなによく壊れる部品ではなく、故障自体が珍しいです。
2.推奨されない方法での洗浄や調整は、無理にスロットルボディを開閉してみたり、分解してしまったり、灯油などに丸付けしてしまうと故障してしまいます。
スロットルボディの清掃は、ユーザーレベルでの整備は専用の洗浄剤での掃除程度にして、それ以上はディーラーなどに依頼した方がいいでしょう。
おすすめの洗浄剤です。ディーラーでも使用している信頼できる商品です。
※必ずマスクやビニール手袋をして使用してください。
スロットルボディ故障が原因でエンジン警告灯が点灯した場合の修理箇所と修理費用
修理箇所:スロットルボディASSY
修理費用:70,000円
●民間整備工場に依頼した場合
新品部品 | 中古部品 | |
ディーラーでの修理費用 | 70,000円 | 約35,000円 |
民間整備場での修理費用 | 65,000~70,000 | 約30,000円 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
スロットルボディは中古品が出回っているので、新品より中古品を使用すると半分程の費用に抑える事が可能です。
しかし、中古品は新品と比べて品質にリスクがあるのでご注意ください。
中古品の事を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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