こんにちは、Honda車のよろず相談所の工場長です。
今回はフィットGE6コンプレッサーの故障でエアコンが効かなくなってしまった故障事例の診断方法t修理費用を詳しく解説したいと思います。
今回はフィットGE6で解説しますが、GB3フリードやRN6ストリームなど同年式付近の車両ではよくある故障です。
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コンプレッサーの故障でエアコンが効かない症状で入庫した故障事例
車種:フィット
型式:DBA-GE6
走行距離:80,000km
本日はどうなさいましたか?
先週からエアコンの効きが弱く先日乗った時は
ほほ冷風が出ない状態です。
止まっていても走っていても
冷風は出ませんか?
はい、そうです。
過去にエアコンの修理やメンテナンスを
行った事はありますか?
去年の夏にガソリンスタンドでエアコンガスが
少ないと言われて補充だけしたと思います。
承知しました。
それでは、お車を拝見させて頂きます。
お願いします。
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実際に確認できた症状
エアコンの作動テストを行うと、送風よりは冷たいが十分効いているとは言えない冷風が出ていました。
外気温35度の時体感で20~25度くらいの冷風です。
エアコンのコンプレッサーは目視ではクラッチがONになっており、駆動しています。
エアコン配管を触ると高圧は温かく、低圧はぬるくはなっているので冷媒サイクルは動いている感じはります。
コンデンサーファン、ラジエターファンは両方とも勢いよく回っています。
コンデンサーは回っているので、コンプレッサーのリレーの不具合ではなさそうです。
ファンも回っているので、コンデンサー冷却不足でもなさそう。
この時点では、冷媒ガス不足、コンプレッサーの性能低下、エキスパンションバルブの不具合を疑いました。
DTCの有無を確認してみた
DTC:なし
DTCってなに?と、思った方がいらっしゃると思います。
DTCについて詳しく解説している記事があるので、ご紹介します。
●DTCとは何か?
●OBDスキャンツールを使用したみた記事
●使用したOBDスキャンツール
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実際に詳しく診断した結果
冷媒ガス量を見てみます。
冷媒ガス量を見るには、この様な専用のエアコンガスチェンジャー機を使用します。
依頼すれば、ディーラーや整備工場で行えます。ガス補充込みで5,000~10,000円が相場です。
規定量:420g
回収量:160g
改修してみると規定量の半分も入っていない状態で、ぎりぎりクラッチがONしている状況でした。
問診時、一年前にガス量を補充していると言っていたので、エアコンガス漏れが起きているようです。
規定量まで冷媒ガスを入れると、エアコンはしっかりと効く事を確認しました。
次は、ガス漏れの箇所を探します。
エンジンルームを細かく確認していくと、コンプレッサーがじわっとオイルが滲んでいる事を確認しました。
よく見ていくと、コンプレッサー本体に軸部分から漏れているようです。
下の写真の赤○の部分から漏れているようです。
この軸から漏れている場合は、部分的な修理は不可な為コンプレッサー本体の交換が必要になります。
また、クラッチ部分にもオイルが付着している為、交換推奨となります。
コンプレッサー交換後は、エアコンの性能テストを行い正常に作動しているかを確認します。
今回は、クラッチ部は交換となりましたが、点検方法もある為紹介します。
エアコンの性能テスト
エアコンの性能テストとは、吸入空気温度、吐出空気温度、吐出圧力、吸入圧力を読みとり、下記の表と照らし合わせて、十分な冷風がでているかを確認します。
※湿度が30%以下の場合は低く、80%以上の時は高くなる傾向がある。
●性能テストのやり方
- マニホールドゲージをセットする
- グローブボックスを取り外す
- 湿度計をブロアユニットの吸入口に、温度計をセンターの吹き出し口にセットする
- 指定の測定条件にセットする。
- 測定条件で10分間運転した時の数値を読み取る
●測定条件
- 日射なし
- ボンネットを開ける
- フロントドア、ドアガラス全開
- 温度調整:MAX COOL
- 内外気切り替えを内気循環へ
- モード位置をVENT
- A/CスイッチをON
- ファンスイッチを全開
- エンジン回転を1500rpm
●測定例
- 吸入空気温度・湿度:30℃ 湿度70%
- 吐出空気温度 :19.3度
- 吐出圧力 :1.90MPa
- 吸入圧力 :0.29MPa
- 判定 :正常
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フィールドコイル、クラッチの点検方法
・ロータープーリの回転がスムーズでベアリングのガタがないかを点検
不具合時はクラッチセットを交換する
・アーマチュア(A)とロータープーリ(B)の隙間を点検し、測定値が外れている場合は調整する
隙間:0.35-0.65mm
・サーマルプロテクタの端子間の導通を点検
導通がない場合はサーマルプロテクタを交換
・フィードコイルの抵抗測定
基準値から外れる場合はフィールドコイルを交換する
基準値:3.15-3.45Ω
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フィットGE6コンプレッサーの故障でエアコンが効かない場合の修理箇所と修理費用
修理箇所
- コンプレッサー本体(交換)
- クラッチ、フィールドコイル(交換)
- 補器ベルト(交換)
修理費用
- リビルトコンプレッサーASSY:80,000円(クラッチ、フィールドコイル付き)
- 補器ベルト:5,000円
合計:85,000円
※純正新品のコンプレッサーにはクラッチやフィールドコイルは付属しません。
※補器ベルトは、コンプレッサー交換時工賃無料の為交換推奨。
●民間整備工場に依頼した場合
新品部品 (クラッチ、フィールドコイル込み) | リビルト品 | 中古品 | |
ディーラーでの修理費用 | 100,000円 | 85,000円 | 50,000円前後 |
民間整備場での修理費用 | 95,000~100,000円 | 80,000~85,000円 | 3~50,000円 |
修理費用の一覧
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
コンプレッサーはリビルト品や中古品が出回っているので、新品より中古品を使用すると半分程の費用に抑える事が可能です。
しかし、中古品は新品と比べて品質にリスクがあるのでご注意ください。
コンプレッサー交換の場合に工場長はリビルト品をお勧めしています。
↓↓理由などは下記の記事で解説しているので、一読をお勧めします。
↓↓リビルト品や中古品の事を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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