【RK型ステップワゴン】走行中に油圧警告灯が点灯してエンジンが停止した!原因はエンジンオイルの消費か?原因と修理実例をホンダ整備士が解説

油圧警告灯が点灯! エンジンオイルが消費している 原因と修理実例を解説! ステップワゴン
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Honda車のよろず相談所の工場長の経歴
●主な資格

  • 国家一級整備士
  • ホンダサービスエンジニア1級
  • フロントマネージャー資格
  • 自動車検査員

ホンダディーラー10年以上の知識と経験を生かして、誰にでもわかりやすく解説していきます。

ステップワゴンで走行中に油圧警告灯が点灯してエンジンが停止する症状の原因とは?

油圧警告灯
油圧警告灯

油圧警告灯とは通称オイル警告灯とも言い、エンジン内部で潤滑の為に加圧されているエンジンオイルの油圧が異常値になった時に点灯する警告灯です。

油圧警告灯の説明
引用:取り扱い説明書

走行中に油圧警告灯が点灯する原因は以下の3つが考えられます。

  1. エンジンオイル量の不足(エンジン内部の不良)
  2. オイルポンプの加圧不足
  3. 油圧センサーの不良

どれかに異常が発生してると油圧警告灯が点灯します。

ディラーに持ち込んだ場合の修理費用は以下の通りです。

エンジンオイル量の不足(エンジン内部の不良):約200,000~300,000円
オイルポンプの加圧不良:約30,000~40,000円
油圧センサーの不良:約10,000円
油圧警告灯が点灯してディーラーに持ち込んだときの修理費

この3つの中でもほぼ95%を占めるのが、エンジンオイル不足による油圧警告灯の点灯です。

エンジンオイル量の不足の確認方法とは?

エンジンルームでエンジンオイル量を確認している様子
エンジンオイル量を確認する

エンジンオイル量を確認する時は、エンジンルーム内にあるレベルゲージを使用して確認します。

  1. エンジンを始動させる
  2. 10程アイドリングさせてエンジンを止める
  3. 1分程置く
  4. レベルゲージを引き抜いてオイル量を確認する

この4ステップだけで、オイル量の確認ができます。

オイルレベルゲージの図
レベルゲージの確認方法

上の図のa-b間にオイルが付着していれば正常です。
※一般的にa-b間で1Lの差があります。

【b】よりも下に付着していたり、エンジンオイルが全く付着していない場合はエンジンオイル量が不足しています。

オイルポンプの加圧不足の確認方法とは?

オイルポンプの加圧不足の確認は専用工具を使用して測定する方法があります。


オイルプレッシャーゲージを油圧ラインに接続している図
オイルプレッシャーゲージを油圧ラインに接続している図

上の写真の様に、オイルプレッシャーゲージという専用工具をエンジンオイルの油圧ラインに接続してオイルポンプで加圧された油圧を測定します。

この確認方法は、専用工具や車を持ち上げる設備や回転物周辺での作業となる為、整備士でなければ難しい作業です。

オイルポンプの加圧不足を確認する場合は、ディーラーへ依頼しましょう。
一般的に費用は5,000~10,000円が相場です。

油圧センサーの不良の確認方法とは?

エンジンの油圧センサーを確認する整備士
油圧センサーの確認

油圧センサーの不良の確認方法は、専用の診断機の油圧センサーの出力値を確認する方法やオイルポンプの吐出圧と油圧センサーの出力値を比べる方法があります。

どちらの方法も専用の診断機やオイルプレッシャーゲージが必要になり、作業も整備士でないと難しい為、確認が必要な場合はディーラーに依頼してください。

一般的に費用は5,000~10,000円が相場です。

走行中に油圧警告灯が点灯した時に簡単に出来る確認方法とは?

簡単に出来る確認方法とは、車両を安全な所に止めてエンジンオイル量を確認する事です。

油圧警告灯が点灯時に確認する事項の手順
引用:取り扱い説明書

取扱い説明書にもあるように

  1. ただちに車を安全な場所に停車する
  2. 非常点滅表示灯(ハザード)を点滅させる
  3. エンジンを停止し、1分間ほど放置する
  4. ボンネットを開けて、エンジンオイルの量を確認する

この順番で確認を行います。

エンジンオイル量が減っている場合は、これ以上走行はせずロードサービスを手配してディーラーに緊急入庫させてください。

エンジンオイル不足が原因で油圧警告灯が点灯する3つの原因とは?

  • エンジンオイル交換時に入れるオイル量が少なかった
  • オイル漏れを起こしている
  • エンジン内部の不具合により燃焼時にオイルも燃やしてしまっている

この3つが主なエンジンオイルが少ない理由です。
各確認方法を解説します。

エンジンオイル交換時に入れるオイル量が少なかった時の確認方法とは?

エンジンオイル量を確認している様子
エンジンオイル量の確認

確認方法は、オイル交換を自分で行ったり、量販店やガソリンスタンドなどでオイル交換してもらった後に、再度自身でオイル量のチェックをするしか確認方法はありません。

それが難しい場合は、信頼できるホンダディーラーに任せましょう。
ディーラーでは、作業ミスがない様に作業者以外の中間検査や完成検査を行いミスを防いでいます。

オイル漏れを起こしている時の確認方法とは?

油圧警告灯が点灯する程のオイル漏れの場合、車の下回り(特にエンジン)を覗くと、オイルが漏れているかどうかの判断はできます。

オイル漏れを起こしている車の下回り
エンジンオイル漏れ

また、車を止めている駐車場の下にオイル溜まりがないか。
オイル溜まりがある場合は、漏れている可能性が大なので、すぐにディーラーで詳しく見てもらいましょう。

駐車場のオイル漏れ跡
この様にオイル跡がないかを確認

エンジン内部の不具合により燃焼時にオイルも燃やしてしまっている

オーバーヒートしたピストン
オーバーヒートによるピストンの傷

オイル上がりやオイル下がりと言って、エンジンの燃焼室にオイルが侵入してしまい、ガソリンと一緒にオイルが燃やされる事で少しづつオイル量が減ってしまいます。

エンジン内部が原因でエンジンオイル消費している可能性がある時は、どのくらいのスピードでエンジンオイルが消費しているかを確認します。

その確認する基準は、5,000キロ走行で1Lのエンジンオイルを消費しているかです。

5000キロで1Lのオイル消費をしているかを確認する方歩とは?

基準として5000キロしてエンジンオイルが1L以上減って入れば修理が必要です。

エンジンオイルをチェックする様子
エンジンオイル量をチェックしましょう

確認の流れは3ステップです。

  1. エンジンオイルを交換してオイル量をレベルゲージの【UPに合わせる
  2. 5000キロ走行する
  3. オイル量を確認

レベルゲージの【UP~【Lo】までは1Lの容量があるので5000キロ走行した問に【Lo】までオイルが付いていなければオイル消費をしていて修理が必要だと判断ができます。

RK型ステップワゴンで数多くみられるエンジンオイルの異常消費とは?

RK型のステップワゴンの持病とも言える不具合が【ピストンリング固着によるエンジンオイルの異常消費】です。

ピストンに組まれているピストンリングとオイルリングが固着してしまい、ピストンとシリンダー間の気密性が保持できず、エンジンオイルが燃焼室に侵入してしまいオイルが燃えて消費してしまうのです。

オイルリングとピストンリング
ピストンリングとオイルリング

ピストンに組まれいてるリングは3本あり上2本がピストンリング、下のリングがオイルリングです。

RK型の先代RF型のステップワゴンに使用していたK型エンジンは、燃費が悪くRFステップワゴンユーザーからはかなり評判が悪かったのです。
そこでホンダは燃費や環境性能向上の為、【R20Aエンジン】を開発しました。
その新開発R20Aエンジンは、燃費向上のためエンジン内部の摺動抵抗を減らそうとしました。その為、ピストンリングやオイルリングの張力を必要以上に弱めてしまったのが原因です。

張力が弱い為、エンジンシリンダー内部のデポジットやオイルをかき落としきれず、オイルリングに汚れが溜まり本来フリーになっているはずのリングが固着してしまい、圧縮抜けやシリンダー内部が損傷します。そして、エンジンオイルがシリンダーとピストンの間から燃焼室に侵入してしまいオイルが少しづつ燃やされて減っていくのです。

エンジンオイルが異常消費してる場合、自分で修理できるのか?

ピストン周りの展開図
図の丸いリングがピストンリング

エンジンオイル消費の修理は、一般的にピストンとピストンリング、シリンダー本体を交換する為、エンジンをバラバラにする必要があるので整備工場でないと修理不可能です。

修理が必要と判断された時は、ディーラーへ依頼してください。
一般的に費用は約200,000円前後が相場です。

油圧警告灯が点灯してエンジンオイルが不足していた症状で、実際にディーラーに修理に持ち込まれた事例

車種:ステップワゴン
型式:DBA-RK1
走行距離:75000キロ

青いRK型ステップワゴン
RK1 ステップワゴン
工場長
工場長

症状発生時の状況を詳しく教えてください。

ユーザー
ユーザー

走行中メーター内のオイルランプみたいなのが点灯して、

そのまま走っていたらエンジンが止まってしまった。

工場長
工場長

オイルランプとはこのようなものですか?

油圧警告灯
オイルランプ(油圧警告灯)
ユーザー
ユーザー

はい。そのマークです。

工場長
工場長

オイルランプが点灯してからどのくらい走行しましたか?

ユーザー
ユーザー

気が付いてから10キロ程走行しました。

工場長
工場長

症状が発生する前に、何か気になる事はありましたか?

ユーザー
ユーザー

最近エンジン音が大きくない?と友人にいわれたりしましたが、

私自身は特に感じていませんでした。

工場長
工場長

最近なにか整備や修理など行いましたか?

ユーザー
ユーザー

約5000キロ前にオイル&オイルフィルター交換をしました。

(スタンドの領収書を確認した)

実際に確認できた症状

問診中から持病のエンジンオイルの異常消費だろうと推測していたので、まずエンジンオイル量を確認しました。

エンジンオイルのレベルゲージにオイルは付かず、ドレンボルトから抜くと0.5L程しかオイルが入っていませんでした。

5000キロで3.2Lのオイル消費はかなりの重症です。(容量3.7L

ドレンからオイルがどのくらい抜けるか確認します

エンジンの作動音もガラガラ・シャラシャラと気になる金属音が出ていました。

実際に詳しく診断した結果

エンジンの圧縮圧力の測定方法

まずエンジンの圧縮圧力を測定します。

エンジンの圧縮圧力を測定してるイラスト
コンプレッションゲージの接続
  1. エンジンを始動させてラジエターが2回作動するまで暖気をする
  2. 暖気完了後エンジンを停止
  3. OBDの診断機やインジェクターリレーを抜いて燃料が噴射されない様にする。
  4. イグニッションコイルを4カ所外す
  5. スパークプラグを4カ所外す
  6. プラグ穴にコンプレッションゲージを取り付ける
  7. スロットルを全開にしてスターターモータでエンジンを回し圧縮圧力を測定す

限度値:880kpa
各シリンダー間差:200kpa
測定値
1番:540kpa
2番:500kpa
3番:980kpa
4番:1000kpa

1.2番が限度値以下の為、圧縮漏れを起こしている事が確認できました。

油圧警告灯が点灯してエンジンオイルが不足してる不具合の修理箇所と修理費用

修理箇所はピストンとピストンリングで部品交換となりました。
今回シリンダーの傷は比較的軽かったのでお客様と相談してシリンダーは再使用となりました。

修理費用は約200,000円

主な交換部品

  • ピストン
  • ピストンリング交換
  • その他ショートパーツ
  • オートテンショナー(同時交換推奨品)
  • 補器ベルト(同時交換推奨品)

~参考~
シリンダーに傷は入っている場合は約30万前後

分解されたエンジン
分解されたエンジン

RK型ステップワゴンのピストンやピストンリングには、メーカーが保障延長を行っています。

通常エンジン類は5年10万キロの保証ですが、【新車を登録した日から11年以内(距離無制限)】に延長されています。

同じエンジンを使用している、CU1アコード、CW1アコードツアラー、RM1CR-Vも同様の保証延長がされています。

詳しくは下記を参照してください。

秘伝!?応急処置方法!

エンジンパワーシールド
いつも使っているパワーシールド

過去には修理をせず、この商品で乗り切った方もいらっしゃいます。
保障期間が切れ有償修理だったのと、予算もないのでお客様と相談の上実施しました。

症状は5000キロ走行で約1Lのオイル消費していた車両が、
ワコーズ EPS エンジンパワーシールド入れ、3回程3000キロ毎のオイル交換とパワーシールドを補充すると
5000キロで約0.5のオイル消費まで落ち着きました。

基本、交換作業を推奨しますが、多少の延命作業にはなると思います。
※程度が軽い場合はオイル消費軽減が見込めますが、シリンダーに傷が入っている様な重症の場合は部品交換が必要です。

あくまでも応急処置としてやってみましょう。

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