みなさんこんにちは、ホンダよろず相談所の工場長です。
今回は、N-BOXで多発するキー音などのブレーキ鳴きについて解説したいと思います。
- そもそもブレーキ鳴きは異常なのか?
- ブレーキの不具合なのになぜリコールにならない?
- ブレーキ鳴きの原因はなにか?
- 対処法はあるのか?
このような疑問をすっきり解決出来るように、誰にでもわかりやすく解説していきますので、最後までお付き合いお願いします♪
記事の中で指すブレーキ鳴きとはブレーキを作動させた時の甲高い[キー][キーキー]音の事です。
ブレーキ鳴きはそもそも異常音なのか?
最初にはっきりと言います。
ブレーキ鳴きは作動音の為、異常はありません。
異常ありません。というと、新車時にはなかった!前乗っていた車は一切なかった!などおっしゃる方が非常に多いですが、異常ではありません。
似たような音で、ブレーキパッドが摩耗してくると運転者に知らせるためにブレーキから[キー]っと、金属が擦れる音がしますが、今回のブレーキ鳴きとは異なります。
昔と比べると環境に配慮した材質の変化や耐久性向上や燃費向上の為、鳴きやすくはなっています。
また、朝一などブレーキが冷えている冷間時になりやすい傾向があります。
ブレーキパッドやブレーキシューの残量が十分にある状態で、ブレーキ操作時や低速の前進・後退時の[キー]や[キーキー]となる音について解説していきます。
なぜブレーキ鳴きがリコールにならないのか?
ブレーキの異常なんだから、リコールだろ!とネット上でも言われる方がいらっしゃいますが、それもちゃんとした理由があります。
リコールとは定義があります。
リコールの定義にもあるように、道路運送車両法の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態である事が重要なのです。
[キー]や[キーキー]とブレーキ鳴きがしていても、ブレーキの制動力への影響がない為、使用上不快な音でもリコールにはなりません。
リコールではなく改善対策やサービスキャンペーンで解決策が出る場合もあります。
改善対策やサービスキャンペーンについてはこちらの記事で個々の違いなどを詳しく解説しています。
ブレーキ鳴きを低減できる運転方法を伝授します!
ブレーキ鳴きを低減できる運転方法は、適度に強いブレーキを踏む事です。
※安全優先でお願いします。
ブレーキ鳴きの原因の1つが、ブレーキパッドの表面が繰返し熱が入り硬化してしまう事があります。
最近は燃費や安全運転志向が強まり、ブレーキを優しく踏む方が多くなりました。
その安全運転がブレーキ鳴きには逆効果になってしまうのです。
強いブレーキをすると、ブレーキパッドの硬化した表面が削られます。そうすると新しい表面でブレーキディスクと接する事ができるので、ブレーキ鳴きがしにくくなるのです。
強いブレーキとはどのくらいなのか?と疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
それは、身体が前も引っ張られるくらいのブレーキを目安にしてください。
例えば、幹線道路で後続車がいない時に5~60km/hから信号などで停止する時に前のめりになるくらいのブレーキをかけましょう。※雨など滑りやすい路面時は控えてください。
ブレーキ鳴きの原因とは?
ブレーキ鳴きの原因はブレーキパッドとブレーキディスクが擦れる時に発生する振動です。その振動が音となって[キー]や[キーキー]と耳に聞こえます。
物が動けが必ず振動します。それが固有振動数と一致すると大きな振動や音へと繋がるのです。
その為、ブレーキも固有振動数をずらしてあげるとブレーキ鳴きが発生しにくくなるのです。
ブレーキ鳴きの対処法とは?
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
ブレーキ鳴きの対処法は主に6つあります。
- ブレーキの鳴き軽減剤を塗布する
- ブレーキパッド、シューの表面を削る
- ブレーキパッド、シューの角を落とす
- シムの塗るグリスを固いものに変更する
- パッドとディスクを交換する
- キャリパーをオーバーホールする
対処法①ブレーキの鳴き軽減剤を塗布する
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
●ディーラーや民間整備工場に依頼した場合
ブレーキメンテナンス | |
ディーラーでの修理費用 | 5,000~10,000円 |
民間整備場での朱里費用 | 5,000~10,000円 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
ブレーキパッドやブレーキシューの表面にブレーキ鳴き軽減が期待できるドライスプレーを塗布します。
※たっぷり塗ると制動力が落ちるので、軽く表面に塗布しましょう。
下の写真の赤いブレーキディスクやブレーキドラムと接する面に軽く塗布します。
対処法②ブレーキパッド、シューの表面を削る
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
●ディーラーや民間整備工場に依頼した場合
ブレーキメンテナンス | |
ディーラーでの修理費用 | 5,000~10,000円 |
民間整備場での朱里費用 | 5,000~10,000円 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
サンドペーパーなどで、ブレーキパッドやブレーキシューの硬化した表面を削ってあげて、新しい表面を出してあげましょう。
サンドペーパーはホームセンターなどで売っている#120~140くらいで十分です。
対処法③ブレーキパッド、シューの角を落とす
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
●ディーラーや民間整備工場に依頼した場合
ブレーキメンテナンス | |
ディーラーでの修理費用 | 5,000~10,000円 |
民間整備場での朱里費用 | 5,000~10,000円 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
ブレーキパッドやブレーキシューのディスクやドラムと接する所が直角だと共振しやすい為、角を落としてあげるとブレーキ鳴きの軽減が期待できます。
削るものは、棒ヤスリやサンドペーパーで行います。
削る所は下の写真の赤い箇所です。角が45度くらいになるように落としてあげましょう。
対処法④シムの塗るグリスを固いものに変更する
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
●ディーラーや民間整備工場に依頼した場合
ブレーキメンテナンス | |
ディーラーでの修理費用 | 5,000~10,000円 |
民間整備場での朱里費用 | 5,000~10,000円 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
ブレーキパッドに組まれているシムのグリスを固いものに変更すると固有振動数が変わりブレーキ鳴き軽減が期待できます。
ディーラーでも使用しているオススメな物がこちらです
ブレーキパッド後ろ側のシルバーや黒いプレートがシムと言われる部品です。
パッドと接する場所、キャリパーのピストンと接する場所に上記のグリスを塗る事で振動を吸収してくれるのでブレーキ鳴きの低減が期待できます。
対処法⑤パッドとディスクを交換する
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
●ディーラーや民間整備工場に依頼した場合
ブレーキディスク・パッド交換 | |
ディーラーでの修理費用 | 50,000円前後 |
民間整備場での朱里費用 | 45,000~50,000円前後 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
※※使用部品が純正品・社外品で金額が変わる場合があります
ブレーキディスクやパッドが摩耗している場合は、新品への交換がお勧めです。
●状態が良いディスク
変摩耗がなく、パッドとの接地面が綺麗な状態です。
●状態の悪いディスク
変摩耗があり、ディスクとの接地面が荒れています。
ブレーキディスクやブレーキパッドが摩耗している場合は、新品への交換が必要です。
社外品もありますが、安価な物は絶対にお勧めしません。
●社外品のオススメ出来る商品
対処法⑥キャリパーをオーバーホールする
※ブレーキを分解する作業はミスが重大事故に直結するため、ディーラーなどで作業を依頼してください。
●ディーラーや民間整備工場に依頼した場合
キャリーパーオーバーホール | |
ディーラーでの修理費用 | 15,000円前後 |
民間整備場での朱里費用 | 10,000~15,000円前後 |
※高度な作業の場合はディーラーしか出来ない場合があります
※保障の有無・内容が異なる場合があります
意外と原因の1つとなるブレーキキャリパーです。
中のゴム部品が劣化し動きが悪くなるとブレーキの振動が吸収しきれずブレーキ鳴きの原因となってしまいます。
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