【GE6 FIT】EGRの故障で失火してアイドリング不安定やガクガクする!原因や診断方法、故障事例をホンダ整備士が解説

フィット EGRの不良による失火 原因と修理事例を解説 フィット
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Honda車のよろず相談所の工場長の経歴
●主な資格

  • 国家一級整備士
  • ホンダサービスエンジニア1級
  • フロントマネージャー資格
  • 自動車検査員

ホンダディーラー10年以上の知識と経験を生かして、誰にでもわかりやすく解説していきます。

アイドリング不安定やガクガクする原因は?

記事内のエンジン警告灯やエンジンチェックランプとは【PGM-FI警告灯】の事を指します。

車両がガクガクしたりアイドリングが出来なくなる原因で一番多いのは【失火】です。
稀にミッションの内部故障などあります。

【失火】とは、ガソリンを正常に燃焼させられない状態の事を指します。

スパークプラグのアップ
失火とは?


原因として

  • スパークプラグやトップコイルなど点火系の故障
  • インジェクターやEGR、エアクリナーなど混合気系の故障
  • 圧縮不足などエンジン内部の故障

が考えられます。

診断方法はどこをチェックしたらいい?

チェックランプが点灯している場合

PGM-FI警告灯のマーク
PGM-FI警告灯

まず症状発生時にチェックランプが点灯している場合は、何が原因でチェックランプが点灯したのかを調べる必要があります。

チェックランプの原因を知るには、DTC(故障コード)を確認する必要があります。
その確認方法は下記の記事で詳しく説明しているので、是非ご覧ください。

チェックランプが点灯していない場合、又は点滅している場合

エンジン警告灯点滅時の対応
PGM-FI警告灯が点灯/点滅した
引用:取り扱い説明書

チェックランプが点灯していなく加速感やアイドリングが不安的な時や、チェックランプが点滅している時はその瞬間の車両情報を知る為に専用の診断機を使って高度な診断を行う必要があります。

沢山のエンジンデータを見て解析を行う為、DIYでは難しくディーラーへ相談をお勧めします。

【点火系の故障】【混合気系の故障】【エンジン内部の故障】3つの故障の診断方法とは?

この3つの診断は故障の症状やDTCによって診断方法や診断カ所が変わります。
診断方法を詳しく解説している記事があるので是非、参考にしてください。

EGRの故障で実際にディーラーへ修理に持ち込まれた事例

車種:FIT
型式:DBA-GE6
走行距離:69000キロ

GE6型フィット
工場長
工場長

本日はどうなさいましたか?

ユーザー
ユーザー

今朝エンジン掛けたら、

車両がガクガクしてすぐにエンジンが止まってしまいました。

工場長
工場長

最後に乗ったのはいつですか?その時、前兆の様な症状はありましたか?

ユーザー
ユーザー

最後に乗ったのは昨晩です。その時変な感じはなかったです。

工場長
工場長

今も症状出ていますか?(レッカーにて入庫)

ユーザー
ユーザー

レッカー車から降ろす時もエンジンがかかりませんでした。

工場長
工場長

メーター内のこのチェックランプは点灯していますか?

PGM-FI警告灯のマーク
PGM-FI警告灯
ユーザー
ユーザー

はい。点灯しています。

工場長
工場長

承知いたしました。

それでは、お車を拝見させて頂きます。

実際に確認できた症状

ホンダの整備工場で故障したFitを点検している整備士
症状の確認から始めます

セルを回しただけでは、全くエンジンかからない状況でした。

ブスブスと初爆はしていそうなので、アクセルを煽るとなんとかエンジンはかかりましたが全くアイドリングができない状態でした。

チェックランプ、DTCの有無を確認してみた

チェックランプ:エンジン警告灯が点灯

PGM-FI警告灯のマーク
PGM-FI警告灯

DTC:あり
DTCコード:P0300、P0404

P0300:複数シリンダ失火
P0404:EGRバルブ追従遅れ

DTCとは、【Diagnostic Trouble Code】の略で、車両に不具合が起きた時にどこに不具合があるのかを知らせてくれる、ECUに記録される故障コードです。
詳しくは下記の記事で解説してます。

実際に詳しく診断した結果

確認したDTC:P0300(複数シリンダ失火)P0404(EGRバルブ追従遅れ)ベースに診断を進めます。

入力したDTCと症状から、EGRバルブが故障したので混合気(空気とガソリンが混ざった気体)のバランスが崩れてうまく燃焼できなく複数シリンダに失火が起きたと推測ができます。

実際にEGRの状態を確認してみます。

下の写真の赤○がEGRバルブです。

フィットのエンジンルーム
エンジンルーム

EGRを外しました。

下の写真が外したEGRの内側です。見事にバルブ部にカーボンが詰まっているのが確認できます。
構造上排気側にはカーボンが溜まりなにかの拍子に剥がれてこの様に可動部に挟まってしまうのです。

取り外したEGRバルブ
カーボンが詰まったEGRバルブ

↓新品のEGRバルブは綺麗にバルブが閉まっています。

新品のEGRバルブ
新品のEGRバルブ

EGRとはなにか?

EGRとは排気ガス再循環装置の事を指します。

簡単に言うと排気ガスの一部を吸入側に戻し酸素濃度をさげる事で最高燃焼温度を低下させて、
燃費向上とNOxレベルを低減させます。

↓EGRシステムの構成図になります。

EGRの構成図
EGRの構成図

・EGRバルブOFF時

EGRの構成図
EGR:OFF時

OFF時は上の図の様に排気ガスはEGRバルブが閉じているので、吸入側にはいきません。
このEGRバルブはECUが車両状況を判断して適切な時に開閉させます。

特にエンジン水温が低い時は通常制御としてEGRバルブが閉じています。

・EGRバルブON時

EGRの構成図
EGR:ON時

上の図の様にEGRバルブが開き排気ガスが吸入側に導入されます。

EGRの故障でアイドリング不安定やガクガク失火した場合の修理箇所と修理費用

修理箇所:EGRバルブ

修理費用:16,000円(ECU学習値リセット&再学習込み)

新品と古いEGR
左が故障したEGR、右が新品のEGR

左が故障したEGR、右が新品のEGR

通常始動直後などの冷却水温が低い時は、EGRは閉まっています。しかし今回は、カーボンが噛んでしまい低温時でも排気ガスが吸入側に導入されてしまいうまく燃焼が出来なくなっていました。

アクセルを煽ってどうにか始動できたのは、スロットバルブが開いて沢山の空気が導入され、EGRからの排ガスが薄まった為、なんどか始動ができたと推測できます。

失火による故障の色々な故障事例

↓トップコイルの故障や圧縮抜けによる失火の故障事例

↓インジェクターの不良による失火の故障事例

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