【改善対策】フィットなど14車種53万台 電動サーボブレーキシステムに不具合

整備士のメモ
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Honda車のよろず相談所の工場長の経歴
●主な資格

  • 国家一級整備士
  • ホンダサービスエンジニア1級
  • フロントマネージャー資格
  • 自動車検査員

ホンダディーラー10年以上の知識と経験を生かして、誰にでもわかりやすく解説していきます。

皆さん、こんにちは「Honda車のよろず相談所」の工場長です。

令和5年12月8日に、ホンダが国土交通省へ改善対策を届け出ました。
かなり大規模な改善対策で自分の車は大丈夫なのか?と心配な方もいらっしゃると思います。
今回は、届出をされた電動サーボブレーキシステムの不具合や届け出の内容について
詳しく解説していこうと思います。

K683 改善対策の概要

不具合の部位(部品名)

制動装置(ブレーキオペレーティングシミュレーター)

画像出典:国土交通省

不具合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因

電動サーボブレーキシステムのブレーキオペレーティングシミュレーターにおいて、
製造工程が不適切なため、製造時に使用する組付け油が圧力センサー内に浸入することがあります。
そのため、使用過程で当該センサー内の抵抗部が腐食し、出力値が異常となり、
警告灯が点灯するとともにフェールセーフが働き、ブレーキペダルの操作力が増大するおそれがあります。

改善対策の内容

ブレーキオペレーティングシミュレーターを対策品と交換します。
ただし、改善対策部品の供給に時間を要することから、希望されるお客様へは、
点検の必要が生じた際にその旨の案内をマルチインフォメーションディスプレイに表示する自己診断ソフトウェアを追加します。
なお、部品が準備でき次第、部品交換を改めて案内します。

対象範囲

・フィット
DAA-GP5、GP6
6AA-GR3、GR4、GR6、GR8

・FREED、FREED+
DAA-GB7、GB8
6AA-GB7、GB8

・VEZEL
DAA-RU3、RU4
6AA-RU3、RU4、RV5、RV6

・ステップワゴン
6AA-RP5

・SHUTTLE
DAA-GP7、GP8
6AA-GP7、GP8

・オデッセイ
6AA-RC4

・CR-V
6AA-RT5、RT6

・インサイト
6AA-ZE4

・GRACE
DAA-GM4、GM5

・JADE
DAA-FR4

・アコード
DAA-CR7

・Honda e
ZAA-ZC7

・CLARITY
ZBA-ZC4
6LA-ZC5

計14車種(32型式)計525.568台の大型改善対策である。
詳しい対象範囲は国交省HPをご覧ください。

今回の改善対策は、令和5年3月31日付け届出番号「661」にて改善対策届出したものですが、
新たな原因が判明した為、改善内容を変更して再度届出を行うものとなっています。

ブレーキオペレーティングシミュレーターってどんな部品?

ブレーキオペレーティングシミュレーターとは、殆どの方はご存じないと思います。
この部品は、ハイブリッド車(HV車)や電気自動車(EV車)向けのブレーキシステムでガソリン車には装着されていません。
HV車やEV車は少しでもバッテリーに充電をしたい為、従来のブレーキシステムより回生ブレーキを使いたがります。
そこで、運転者の要求制動力を演算し、ブレーキとハイブリッドの協調制御に使用されます。
ちょっと、難しくなりましたがガソリン車でいう「ブレーキのマスターシリンダー」の役目をします。

そのブレーキオペレーティングシミュレーターが故障すると制動力が落ちて車が止まりにくくなってしまいます。

ここで、ブレーキの不具合なのになんで【リコールじゃないの?】と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
それは、本件の故障が発生してもブレーキが利かなくなる訳ではなく、「効きにくくなる」だけだからです。
ユーザー目線では、効かなくなるも効きにくくなるも同じくらい重要だと思いますが、国のリコール制度では
まったくの別物なのです。

こちらの記事で、「リコール」と「改善対策」の違いを詳しく解説しています。

部品交換について

本件は、全数部品交換が伴います。しかし、対象台数が53万台と多く部品の生産が追い付いていないのが現状です。
その為、改善対策は令和5年12月に届けられましたが、部品交換は令和6年3月以降の予定となっている様です。

突然の故障を防ぐプログラムアップデート

届出から部品交換までの期間、ユーザーの不安を少しでも減らすためにブレーキシステムの
プログラムアップデートが発表
されました。

その内容とは、ECUで故障が確定されブレーキが効きにくくなる前に、その予兆を検知し
メーター内に注意喚起を表示させるというものです。

本来は、故障が確定してから運転者に故障を知らせますがアップデート後は
故障確定の前に、故障の前兆をECUが認識すると注意喚起をします。

故障発生の予兆

ブレーキシステムのプログラムをアップデートしていう車両は、メーター内には下記の表示が出ます。

【ブレーキシステム異常 注意して運転してください】

・車両状態
ブレーキペダルがすごく固くなり、成人男性が思いっきりブレーキを踏んで何とか車両が停止する様な状態になります。
この時点では、決して自走せずレッカーなどロードサービスの手配をしてください。
ホンダでは、【ホンダトータルケア】という無料レッカーサービスもあります。
これは絶対ホンダユーザーなら加入しない手はありません。

まとめ

令和5年12月8日に改善対策の届出がされました。
今後ブレーキ関連の部品交換が必要となり、令和6年3月以降の作業となります。
部品交換前にプログラムアップデートがあるので、実施を強く推奨します。
アップデート後は、故障前にメーター内に故障の注意喚起をする表示が出ます。
メーター内にブレーキシステム異常の表示が出たらすぐに運転をやめ、レッカーの手配をしてください。

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